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おちょこブログ

おちょこの裏ほどの器から始まったストーリー (旧タイトル:へなちょこブログ)

マンション鬼ごっこ 

2019.07.07

僕は幼少期のほとんどを東京で過ごしたから、遊びといえばもっぱら「マンション鬼ごっこ」だった。



綺麗な山や川があるわけでなく、かといって公園が広いわけでもない、東京の片田舎という半端なフィールドでは、それ以外の選択肢は無いといってもいいくらいマンションは魅力的だった。




豊洲あたりの整然として尖りまくったマンションに比べれば、その管理体制は緩く、それは僕らに開かれた要塞であった。




今でこそ理解できる土地境界の存在、まして不法侵入罪などは、理屈は分かっていても僕らとは無関係のものだったし、たまに通報されてやってくる警察にとっても、それは暇つぶしの一環でしかなかった。





一度マンションの塀に向かって立ち小便をしたときは学校に連絡がいってチビりそうになったけど、すでに小便をしていたのだから悪しからず。





僕らは次々に新しいマンションを開拓し、その構造や、管理人の有無、「有」ならそのスタンスを観察した。



コの字になっているような大きくて複雑なマンションであればあるほど、それは遊び場としての価値を上げるが、管理人が常駐しているケースが多い。




僕らが最も多く通ったマンションにも、野球帽をかぶった背の低いオジサンが箒を持って徘徊していた。



鬼から逃げるだけでなく、管理人からも逃げる必要があるマンション鬼ごっこでは、管理人のスタンスはとても大事だ。




淡々と通報するような管理人は話にならないが、そこのオジサンは僕らと近距離で鉢合わせた場合のみ、箒を振り上げて「コラ!またお前らか!」と怒鳴った。




それは子供ながらに「怒っている風だけど、どこか楽しそうな大人」だと認識できた。

そういう悲しくも素敵な大人の性を知ったのは、そのときが初めてだと思う。





遠目には、温かい目で見守ってくれていたのだ。

知らんけど。






僕たちはマンションの規模に応じて、鬼の数を二人にすることもあった。


マンション鬼ごっこにおける鬼役の孤独感は半端なものではないから、一度大きいマンションで一人で鬼役をやった誰かが言い出したルールだ。



そんな健気で純粋な子供たちの自治は、気のいいオジサンの懐に入り込むには充分なものであっただろう。





いまでもマンションが子供たちの遊び場として機能していることを願いつつ、住宅ローンを支払っている身としては自分の敷地に侵入されて騒がれるのはたまったもんじゃないので、ほどほどにね。





おわり
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アカハタ 35cm 

2019.06.15




イカの漁獲高減でサイゼリヤの「真イカのパプリカソース」が終売になると聞いたので、アカハタを獲りに。












「海の宝石」といえばキンメやノドグロや蒼井優のイメージだけど、透明度の高い海の中で見るアカハタは全く引けを取らない。


この歌舞伎役者を彷彿とさせる和のテイストは、陸上で見るアカハタからは伝わらない。
















ほらね。 陸でも超きれいで美味そうだけど。そのまま食えるんちゃうかコレ。











素人さばきの炙りでも、素材が良すぎて失敗なし。




そういえば、ワタを取るとき胃の中からは小さいカニがたくさん出てきました。 そりゃ美味いわ。







おわり

真面目ゾンビーズ 

2019.05.25

僕は「学校なんて退屈でくだらねえ」と叫び続ける金城一紀とか浜田省吾とか尾崎豊が好きで、その作品をよく読み返し、飽きることなく聴いている。




しかし、僕はといえば学校が大好きだったし、まさに彼らが忌み嫌うような学生生活を送っていた。



盗んだバイクで走り出すなんてのは夢のまた夢、夜の校舎の窓ガラスも一枚も割れないどころか、制服の一番上のボタンすら外せない超マジメ君で、先生の顔色をうかがっては、テスト前の勉強をセコセコとこなし、高校の合格発表は、親より先に担任の先生に報告した記憶すらある。



そんなスーパー可愛くない中坊の僕に、金城一紀のいう「大人たちに同列にされて管理されている」なんて感覚はなかった。



それどころか、校内の秩序を作り上げているのは管理されているはずの僕たちで、土日の部活を含め、こんな中坊を相手に毎日カリキュラムをこなす先生をリスペクトしていた。



どちらかというと「ワルい」集まりだったと思われるサッカー部内でも運良くイジメられた記憶はないし、たしか好きな女の子とかもいて、僕にとって学校とは「行けば楽しいもの」で、永遠に学生であることを望んでいた。



草野マサムネが名曲 "君が思い出になる前に" で言っているけれど、「きっと僕ら 導かれるままには歩き続けられない 二度とこれからは」とはまさにその通りで、学校を卒業してしまうと、約束された人間関係はなくなる。自分で選択していかなくてはならなくなる。



だから、卒業はとても辛かった。



卒業シーズンに必ず耳にするどうでもいい格言、一月は行く、二月は逃げる、三月は去るとか、クソ喰らえと思っていた。






しかし、大人になってからの物の考え方や嗜好は、反面教師的に形成されたものがほとんどだ。



いま僕が読む本や聴く音楽は、だいだいが「校舎の屋上でタバコを吸ってるのがバレて停学になる」系のものばかりで、その美学に触れ続けていると、いまさら「違った学生生活もあったかなぁ…」などと本当は思ってもないことを考えたりする。




まぁ僕にはタバコをくわえる度胸も器も無く、仮病で授業をサボってゲーセンに行くくらいが関の山だろうけど。それも、午後には「先生すいません、良くなりました。」といって学校に行くだろう。





久しぶりに金城一紀のゾンビーズシリーズを読んで、改めて学生生活をシミュレーションしてみた。




でも何度やってみても、僕の制服の一番上のボタンが外されることはなかった。







おわり

会津駒ヶ岳 BC 

2019.04.24




良い子にしていたので春の会津駒も最高の天気でした。











登りは強い私。













壮大なスケールの中、板に壮大に乗れていない私。



スクール入ろう…。






おわり

赤髪のシャンクス 

2019.03.16

大阪で狭いワンルームを借りていた頃、自宅から最寄りのラーメン屋によく通った。



店の名前は「家族」で、大して美味くはないが、カウンターのみの気兼ねなさと、ビールの安さに足が向いた。



僕の住んでいた街は治安が悪いと言われていて、店も新幹線の高架下の人気のない暗い場所にあった。




その日も仕事を終えて帰宅がてらに「まいどっ」と心の中で呟いて入店し、いつものようにラーメンとビールを頼む。




隣では長髪を真っ赤に染めたおそらく僕よりも若いコワモテの兄ちゃんがラーメンを啜っていた。



この街では見慣れた連中である。






店員との会話はなく、逆に言えば煩わしさもなく、淡々と出されるラーメンとビールをさっさと平らげて、椅子を引く。


そのとき初めて発せられる、いつもの店員の「ありがとうございまーす。」という言葉に呼応して、財布を取りだそうとカバンに手を伸ばす。



嗚呼これが常連ってやつかと、浸る僕。





しかし、いつものポケットに財布がなく、平静を装って上着のポケットも探してみるが、どこにもない。





間違いなく、会社に置いてきた。

この日に限っては、デスクの引き出しに入れた記憶があった。







でも焦る必要はない。僕は常連なのだから。





「すいません、財布を忘れたみたいで、明日でもいいですか?」





返す刀で、「は?ちゃんと探したんすか?」







僕は常連ではなかった。


店員の認識は、ただの新手の食い逃げ野郎だった。





それにしても財布を忘れたという客に対して、ちゃんと探したんすかって、最強かよ。






僕には会社に置いてきた確信があったので、もう一度探すような芝居はせず、なんとかならないか交渉を開始する。




そのときの店員の取りつく島もない「それで、どーしますか?」という謎の脅し?と、冷たい表情は一生忘れない。




これで店名「家族」って、なんの冗談だよ。






「どーするもなにも…」と言いかけたそのとき、隣の赤髪コワモテ兄ちゃんが、財布からサッと1000円札を出して、「コレで」と一言。



呆気に取られている僕を無視して、「いや、ビールいれて1500円ですけど」と店員。


この日に限ってビールを2杯飲んだ僕。





1500ですけどって、お前が言うなよ…と店員に突っ込もうとした次の瞬間、赤髪の兄ちゃんはもう一枚1000円札を出して、「はい、これで終わりね」と席を立とうとする。





あくまでも普通に受け取ろうとする店員を制止し、「ありがたいですが、どうやって返しましょう?」と赤髪の兄ちゃんに聞いてみる。




「いや、お互い面倒くさいだろうから、いいですよ、ここは。」と赤髪の兄ちゃん。





「まじすか、じゃあお言葉に甘えて…」と受け取ってしまうほど、かろうじて堕ちてはいなかった僕は、「それじゃあ受け取れません。でも、ありがとうございます。」と礼を言い、心の中で「治安の悪い街の象徴みたいに、連中とか言ってごめんなさい」と謝った。そして心底、自分を恥じた。



どうやって返したら?と聞いてしまったことも。


そんなこたぁ自分で考えろって話だよね。






結局は隣駅に住んでいた会社の先輩がわざわざお金を貸しに店まで来てくれて解決したんだけど、「家族」は先輩が来るまできっちり僕を拘束した。






それからというもの、通勤退勤のたびに駅周辺で赤髪をチェックした。


あのときの礼を言いたくて。






でも本当のヒーローというのは二度は姿を現さないもので、一度も見かけることはなかった。




ひとは見かけによらないと言うけれど、これ以上のエピソードを僕は他に知らない。





たまに思い出して、メシ屋で隣の見ず知らずのオッサンが財布を忘れてないか期待することがあるけれど、果たして僕にも同じことができるだろうか。






おわり

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プロフィール

おちょこの裏

Author:おちょこの裏
群馬県月夜町生まれ、茅ヶ崎市在住。
サッカー 登山 スキー 素潜り サーフィン ミスチル ビール が主。

■登山録

富士山・比叡山・筑波山・八丈富士・谷川岳・瑞牆山・雁ヶ腹摺山・三国山(群馬県)・越前岳・大山・塔ノ岳・荒船山・上州武尊山・蓼科山・雄山・大汝山・燕岳・大峰山・吾妻耶山・行者ケ岳・二子山・鍋割山・黒斑山・碁石ケ峰・袖平山・伊豆ヶ岳・大菩薩嶺・川苔山・編笠山・権現岳・掃部ヶ岳・道峰山(ソウル)・高水三山・生藤山・黒檜山・日光白根山・甲斐駒ケ岳・仙丈ヶ岳・羊蹄山・一ノ倉岳・茂倉岳・奈良倉山・蝶ヶ岳・白馬岳・両神山・宝登山・雲取山・檜洞丸・妙義山・入笠山・武奈ケ岳・荒島岳・八経ケ岳・西穂高岳・伊吹山・叔母子岳・剱岳・丹沢山・岩湧山・穂高岳・涸沢・弓折岳・双六岳・槍ヶ岳・樅沢岳・三俣蓮華岳・赤岳・横岳・白山・涸沢岳・小蓮華岳・針ノ木岳・蓮華岳
・木曽駒ケ岳・大天井岳・常念岳・奥穂高岳・ジャンダルム・北岳・間ノ岳・加入道山


◾️BCスキー録

かぐら中尾根・富士山・上州前穂高・鍋倉山・黒姫山・斑尾山・湯の丸・会津駒ヶ岳



現在は東京にて営業を。

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